【越境ECの誤解】タイ市場で成功するには現地ECと現地在庫が鍵(経営者向け)

タイ市場における越境ECの課題と現地EC・現地在庫の重要性

越境ECに取り組む企業は増えていますが、多くの場合、準備に時間をかけても実際の売上や成果が伴わないことがほとんどです。特に「国内で売れている商品だから海外でも売れるはず」と思い込む企業は少なくありません。しかし、タイ市場で実際に売上を作るには、現地ECと現地在庫の整備が不可欠です。

本記事では、タイの現場で日々実務を回す「店主 白井」の視点から、スピードと結果を重視する経営者・代表者が押さえるべき実務戦略を解説します。

目次

越境ECでよくある誤解:タイ市場では準備と売上は比例しない

多くの企業は、越境ECを始めれば自然に売上が増えると誤解しています。しかし現実は異なります。タイの消費者が日本のECサイトにアクセスして購入するのは、極めて限定的です。送料や関税の負担、配送の遅さ、決済方法の不便さなど、国内ECと比較して買いづらいためです。

さらに、多くの企業は外部のコンサルや支援サービスに現地対応を任せようとします。しかし、提供されるのはあくまで助言や提案に留まることがほとんどで、現場での販売・在庫・物流対応まで完全に任せられるわけではありません。その結果、企業は膨大な準備作業や管理業務をこなしても、売上という成果にはほとんど結びつかないことが多いのです。

スピード重視の経営者が押さえるべき現地主義

タイでのEC販売で結果を出すには、現地ECへの出品と現地在庫の確保が最優先です。経営者は「検討より検証」を意識し、準備段階で完璧を求めず、現地での実務検証にフォーカスすべきです。事前にあれこれ時間を掛けて検討しても、現地での反応や売上は見えません。経営者が知るべきなのは、仮説を立てて現地で素早く検証することです。タイの消費者行動を前提に考えると、販売チャネルと在庫の置き方そのものが、成果の出やすさを大きく左右します。

経営者の立場で考えれば、「まずはLazadaやShopeeの越境EC枠に日本から直接出店して反応を見よう」と判断するのは自然な流れです。しかし、出店できることと、売上が継続的に立つことは別問題になります。

Shopeeのタイ向けアプリでは、商品ごとに発送元が「Japan」「Bangkok」などと明示されており、発送元の表示だけでも購入ハードルに差が生まれます。さらに、アプリ上では発送元と販売数が同時に表示されるため、実際に見比べると、発送元が「Japan」となっている商品は販売数が伸びにくい傾向が確認できます。

現地ECでの販売が前提になる理由

タイの消費者は、日本のECサイトではなく、日常的に使い慣れた現地ECプラットフォーム上で商品を探し、購入します。

  • Lazada、Shopee、TikTok Shopなど、現地消費者が普段利用するプラットフォームで販売する
  • 海外サイトや自社越境ECに頼ると、そもそもアクセス自体が限定的で売上につながらない

現地在庫の重要性

  • 日本から直送すると配送遅延・送料高騰で購入が敬遠される
  • 現地在庫を持つことで、配送スピードが向上し、現地消費者の購買ハードルを下げられる
  • 返品や関税対応も迅速化できるため、顧客満足度の向上につながる

これらはすべて、マーケティング以前に「売れる前提条件」として整っているかどうかの問題です。

少量テストが経営判断を鈍らせる理由

「まずは少量でテスト販売」という手法は、一見リスクが低く見えます。しかし、実際には注文がほとんど入らないため、準備に費やす時間とコストの割に成果が見えません。

  • 商品登録や翻訳、配送方法・関税・税務対応など、1SKUあたり平均30〜60分かかる場合もある
  • 10SKUテストでも、注文が1〜2件しか入らないと作業効率は極めて低くなる
  • 分析レポート作成に時間を使っても、売上改善にはほとんど役立たないことが多い

無駄を避けるための実務フロー整理

経営者が押さえるべき思考法は以下です。

国内業務の感覚で考える

日本国内での受注・発送・問い合わせ対応を基準にして、海外展開で何が必要かをイメージします。1件の海外注文でも、決済確認、配送手配、関税対応など国内業務以上の手間がかかる場合があります。

外部支援を使う前に自社で整理

  • 言語対応(商品説明・使用方法)
  • 配送・関税・税務対応
  • 問い合わせ・返品対応フロー
  • 決済フロー

これらを事前に整理・可視化することで、作業漏れや無駄を減らせます。

優先順位を明確化

  • 「販売戦略」よりも「タイ人が買いやすいか」を最優先
  • 運用可能なフローを設計してから拡張
  • 不要な外注や支援依頼を減らし、コスト対効果を最大化

成功の鍵は「現地主義」と「実務最適化」

タイ市場で成果を出すには、以下が不可欠です。

  • 現地ECでの販売チャネル確保
  • 現地在庫を持ち、配送・関税・決済を迅速化
  • 少量テストに依存せず、現場で実務を検証しながら改善
  • 国内目線ではなく、タイ人消費者目線で購入導線を整備

これにより、準備作業が無駄にならず、経営判断に直結する結果を早期に確認できます。

検討より検証、速度と結果を優先

越境ECは「やれば売れる」魔法ではありません。タイ市場で成果を出すには、現地ECと現地在庫を軸に、実務フローを最適化して現場で素早く検証することが最も重要です。スピードと結果を求める経営者・代表者は、計画よりも現場での検証を重視し、無駄な準備に時間を割くのではなく、実務で成果が出る仕組みを優先すべきです。

一般的に、タイ市場向けに商品を個別ローカライズしようとすると、想像以上に時間とコストがかかります。一方で、実務の設計次第では、日本で販売している商品構成を大きく変えずに、現地ECで検証を進めることも可能です。重要なのは翻訳や装飾ではなく、出品・在庫・物流・決済・顧客対応といった「実務が止まらず回るかどうか」です。

次の一歩:実務の整理と現地検証

タイ市場でのEC販売を効率的に理解するには、タイ国内での販売フロー、在庫管理、物流・決済対応など、実務に即した情報の整理が役立ちます。こうした情報をもとに、自社の実務設計や優先順位を明確にすることで、準備作業の無駄を減らし、現場での成果につなげやすくなります。

現地ECへの出品・販売管理

Lazada、Shopee、TikTok Shopなど、現地消費者が普段利用するプラットフォームの販売環境を確認します。

現地在庫・物流・決済対応

現地在庫管理や配送スピード、関税・決済の仕組みなど、実務上重要なポイントを整理します。

実務フローの理解

タイ市場で現地ECを進める際に、どの業務が現場で必要か、優先順位の整理など、経営判断に役立つ情報を確認します。

実務の全体像を把握したい方は、以下で整理しています。

この記事を書いた人

白大商店 店主

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