越境ECの「成功」は、売上が立ったかどうかでは判断できません。タイ市場で継続的に成果を出している企業は、販売方法を選ぶ前に、ある前提を先に固定しています。
本記事では、タイの現場で日々実務を回す「店主 白井」の視点から、越境ECが迷走する理由と、最終的に多くの企業が同じ結論に収束していく判断プロセスを整理します。
タイ向けEC販売が迷走する企業の初動ミス
タイ市場へのEC販売を検討する企業の多くは、次のような順番で考え始めます。
- 越境ECにするか、現地ECにするか
- LazadaかShopeeか
- 日本から発送するか、現地在庫を持つか
- 物流はどこに依頼するか
一見すると妥当な検討に見えますが、実務の現場ではこの順番自体が迷走の原因になります。理由は簡単で、前提が決まらないまま、選択肢だけを増やしているからです。
例えば、A社は最初に越境ECで販売することを決め、日本から発送する前提でテストを開始しました。しかし、現地消費者の購入ハードルが高く、注文は極端に少ないまま。物流や在庫管理だけが増え、結局判断が迷走しました。
成果を出している企業は「売り方」から考えない
タイ市場で安定して回っている企業は、「どう売るか」「どこで売るか」から考えていません。
最初に固定しているのは、次の前提です。
- 売上は一時的な数字ではなく、継続性で判断する
- 実務は属人化させず、仕組みで回す
- 売れるかどうかではなく「止まらずに回るか」を基準にする
この前提があるため、途中で数字が出なくても判断がブレません。
例えばB社は、初期の数件の注文では成功と判断せず、毎週の在庫チェック、配送スピードの確認、問い合わせ対応の標準化に集中しました。その結果、3か月後には安定して受注が入り、業務フローが回る体制を確立しています。
タイ向けECで多い「売上=成功」という誤解
タイ向けEC販売では、初期に数件の注文が入ることは珍しくありません。しかし、成果を出している企業ほど、この段階で成功とは判断しません。
理由は以下の通りです。
- 出品数が増えない
- 在庫が回らない
- 対応工数だけが増える
- 日本側の負担が減らない
この状態では、事業として成立しません。成功している企業は売上よりも「運用が成立しているか」を重視しています。
タイ市場で最終的に固定される前提
タイ市場で実務を回し続けた企業は、最終的に同じ前提に行き着きます。
タイ向けEC販売では、販売・在庫・物流を最初から一体で設計しなければ回らない
販売だけ先に考えると物流で止まる
物流だけを考えると価格と販売が成立しない
在庫だけを考えると回転が設計できない
分けて考えるから実務が止まります。
なぜ「現地EC × 現地在庫」に収束するのか
タイ市場で成果を出している企業は、意図せず次の形に収束します。
- タイの消費者が日常的に使うECで販売する
- タイ国内在庫を前提に運用する
- 日本からの個別対応を極力減らす
これは戦略論ではありません。現場で実務を回した結果、残った形です。
ShopeeやLazadaでの販売を続ける中で、
- 発送元の表示
- 配送スピード
- 返品・問い合わせ対応
これらが売上と運用負荷に直結することを、現場で理解していきます。
成果を出す企業が最初に固定している判断基準
- 日本から「売る」発想で始めない
- タイ市場の中で「回す」ことを前提にする
- 個別対応ではなく、運用前提で設計する
- 売上よりも継続可能性を優先する
この前提があることで、途中で判断が迷走しなくなります。
成果とは「迷わなくなる状態」
タイ向けEC販売の成果とは、売上が一気に跳ねることではありません。
- 判断基準が明確になっている
- やらないことが決まっている
- 実務が止まらずに回っている
この状態を作れた企業は、結果として売上も積み上がっていきます。
次の一歩:前提を整理する
もし今、
- タイ向けECの方向性が定まらない
- 検討だけが増えている
- 実務の全体像が見えない
こうした状態にあるなら、手法を探す前に、前提の整理が必要です。販売・在庫・物流を分けて考えない。この前提を固定することで、タイ向けEC販売は初めて事業として成立します。
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